2019年5月15日、悲しい事件が起きてしまいました。なんと、死産した胎児が誤ってトイレに流され、その後発見できなかったそうなのです。
事件の状況や、14週の胎児の様子、家族の悲しみについてまとめました。
事件の状況
報道内容をまとめると、
■36歳女性の胎児は、死産される4日前に心肺停止が確認され、死産のため病院の分娩室にいた。
■分娩室で尿意があったため、トイレに行った際に胎児を死産。
■職員の支持でトイレから分娩室に戻る間に、トイレに居た清掃員が誤って胎児を流した。
こんなことが起きるなんて、きっと誰も予想できなかったのでしょう。
胎児でも大切なひとつの命
トイレに流すってどういうこと?と思いましたが、死産した胎児はまだ14週だったのです。大きさにして80mm~93mmで、体重は25gほど。
でも、小さくても一生懸命生きているのです。
妊娠14週の胎児の様子
14週の赤ちゃんは、もうすでに心臓は活発に動いているんです。すごいですよね。心拍数は1分間に150回くらいで大人の倍以上の速さ。小さな心臓を目一杯使って1日に25L弱の血液を全身に送り出します。
また、赤ちゃんは首が発達してきて長くなり、あごと胸の間に空間ができて離れてきます。そして、うっすらとうぶ毛が生えてくるのです。
胎児はおっぱいを吸う練習も
吸啜反射(生まれた赤ちゃんがよく見せてくれる親指をチュッチュッと吸う動作)は、この時期からできるようになります。
14週で赤ちゃんの性別は分からない
性別がわかるのはもう少し経ってからですが、妊娠14週頃には胎盤も完成に近づいてきます。
病院側の落ち度や防止策は?
小さくても赤ちゃん、小さくても自分の大切な子供なんだという気持ちがよくわかりました。その赤ちゃんが失われるという悲しい事件は、未然に防げなかったのでしょうか。
さいたま赤十字病院の職員教育
今回は、清掃員さんが流してしまったけれど、トイレに行く許可を出したのは医師、トイレから分娩室に戻るのも職員の支持だったため、病院スタッフの不注意、ミスでもあったと言えます。看護師等の病院スタッフについては、以下のような教育を行っていることがわかりました。
キャリア開発ラダー(日本赤十字社)を導入し赤十字の看護師として看護実践能力を高められるよう、レベルに応じた教育プログラムを準備しています。
【新人教育】
新人看護師の誰もが抱く専門知識や技術不足・医療事故への不安などを解消し、安心して仕事に取り組め、社会人としても看護師としても成長できるよう支援します。
集合研修は、知識と技術が統合され、実践につながるよう支援しながら、考える看護師の育成に努めています。
安全マニュアル
さいたま赤十字病院の公式サイトにいってみると、『医療安全管理指針』があることがわかります。しかし、その欄は「現在改定中」となっていました。今回の事件を受けて新しく追記されるのかもしれません。
清掃員マニュアル
こちらは、再発防止策として改定したと報道されています。改訂された内容はわかりませんが、流す前の異物確認等についてでしょうか。
病院の口コミ
病院の口コミサイトにて、さいたま赤十字病院産婦人科の口コミを調べてみましたが、とくに問題となりそうな記述はありませんでした。「淡々と診察されるが、質問には納得するまで答えてくれる」「若い医師、看護師が多くわきあいあいとして明るい雰囲気がある」「様々な年代のスタッフさんがいて相談しやすい」など評価するコメントが多かったです。
家族の悲しみ
死産した女性の夫がその苦しみを語っています。
「空っぽの骨つぼに祈る日々。妻はトイレを流す音がトラウマになり、体調を崩している。 絶対に同じことが起きてほしくない」と声を絞り出して訴えました。
またテレビの取材に対しては、「妻は『自分の手ですくいあげてあげればよかった』と何度も言うんです」と涙を流しながら語っていました。
夫婦は胎児に桜ちゃんという名前をつけ、写真や手形を残して埋葬することにしていたそうです。
大切な胎児が流され、見つからないという事実はあまりに悲惨すぎます。「仕方がなかった」「誰も悪くない」と同情して終わるのではなく、同じことが起きないために何ができるかを皆が考えないといけないと思いました。
報道全文
報道全文はこちら。引用:Yahooニュース
同保健所などによると、女性が死産したのは3月19日午後3時10分ごろ。 4日前に胎児の心肺停止が確認され、女性は同18日から分娩(ぶんべん)のため入院していた。
同行した夫(39)によると、分娩室に入った女性は尿意があったため医師の許可を得てトイレに行った際に胎児を死産。 職員の指示で分娩室に戻って待機していたところ、トイレを流す音と病院職員の悲鳴が聞こえたという。 病院側は「心よりおわび申し上げる」などと文書で女性と家族に謝罪。 清掃員のマニュアルを改訂するなどの再発防止策を明らかにしたという。
同病院医療安全管理課の担当者は15日、朝日新聞の取材に対し、「現段階でコメントできない」とした。
夫婦は胎児の名前を考え、写真や手形を残して埋葬することにしていた。 夫は「空っぽの骨つぼに祈る日々。妻はトイレを流す音がトラウマになり、体調を崩している。
絶対に同じことが起きてほしくない」と声を絞り出した。